Japan Cooked-rice Association
ごはんソムリエ講師 小田宗宏
2026/03/16
文献番号B-13
訳者よりひとこと
健康的な食事がどういうものであるかを明確にすることは難しい。様々な情報が散見され、特定の食事や食材が健康にとっては良いと強調されることも多い。しかし、現実的には長期間にわたる当該食品を摂取した場合の安全性や有効性に関する科学的根拠は示されていない。ヒト試験の実施は倫理上大変困難であることからも、今後とも科学に基づく根拠を示すことは困難であると思われる。そのため、食の安全性や保健効果などは、長年の人類の歴史の中で体験した食経験に基づいて評価される。さらに、長い食経験の上で健康にとって望ましい食事であっても、それが日本人の食嗜好に適うものかどうかも考える必要がある。
今回取り上げた論文は、日本人研究者による研究成果であり、日本の食事バランスガイドを遵守することが健康にとっては大変重要であることを示すものである。基本的には、いろいろな食材を少しずつでも毎日摂ることが強調される。その結果、いろいろな病気で亡くなる方が減り、心血管疾患や脳血管疾患による死亡率も低下する。本論文以外でも、日本の研究者による観察研究から、食材の多様性は認知機能の低下を抑制するなどの知見が報告されている。したがって、特定な食材だけを摂り続けるリスクにも配慮して頂き、様々な食材を日々取り入れた食事で心身ともに健康な生活を維持したい。
文献要旨(訳)
日本人の食事バランスガイド(コマのイラスト)の遵守と総死亡率(様々な死因を含める)との関連性が、大規模な集団ベースの前向きコホート研究(注1参照)として15年間にわたり追跡調査された。
日本の11の保健所の協力により、過去にがん、脳卒中、虚血性心疾患、慢性肝炎などの疾患に罹患したことのない男性36,624名と女性42,970名(年齢は45~75歳)が参加した。(データ一部省略)日本人成人では食事バランスガイドの遵守度が高いほど総死亡率は低く、また、心血管疾患を死因とする死亡率も低く、特に、脳血管疾患による死亡率が低かった。
注1:前向きコホート研究
疫学における観察研究の一つであり、特定の要因に暴露した集団とそうではない集団とを、曝露から疾病発生までの時間の経過(前向き)に基づいて観察し、研究対象とする疾病の発生率を比較するものであり、要因と疾病発生の関連を調べるものである。
出典:
雑誌名 :BMJ 2016 ; 352 : i1209(文献2/炊飯2/分類B-2)
タイトル :Quality of diet and mortality among Japanese men and women:
Japan Public Health Center based prospective study
訳/小田宗宏(炊飯HACCP審査委員)