Japan Cooked-rice Association
ごはんソムリエ講師 小田宗宏
2025/12/24
文献番号B-09
訳者よりひとこと
主食として大変重要な食品であるごはんは消化・吸収されると血糖値に反映される。血糖値の高値が長期間にわたり続くと、将来的には肥満や糖尿病を患うことにもなる。したがって、健康維持のためには、日常の食生活の中で、改善できることは少しでも改善し、血糖管理に配慮することが大切である。
ここでは、お米の成分(アミロース、アミロペクチン、食物繊維)あるいはそれらの割合が食後の血糖値に影響を及ぼすという論文を紹介したい。一方、国内でも「新形質米」と呼ばれる新品種がある。例えば、低アミロース米とか、高アミロース米、低グルテリン米などである。なかには、病態食として利用されているものもあるようである。
文献要旨(訳)
玄米は精白米と比べ、食物繊維の良い供給源であり、ビタミンやミネラルの含量も高い。本研究では、様々な品種の精白米と玄米を用いて、アミロースと食物繊維の含量が血糖反応に及ぼす影響について検討している。精白米と玄米を試験食として、ボランティア(9~10名)に、一夜絶食後、50 g相当の炭水化物を含む試験食を食べて頂き、血糖反応とグリセミック・インデックス(GI)(注1)を調べた。その結果、アミロース含量が最も低い品種(Sinandomeng)が高いGI=75を示したが、アミロース含量が最も高い品種(PSBRc10)のGIは50であった。また、食物繊維含量が低い品種(Sinandomeng)のGIは75であったが、その玄米のGIは55であった。アミロース含量が23%、食物繊維含量が2.5g/100gの玄米(品種、IR64)はGIが51と低かった。これらのことから、様々な品種の精白米と玄米の血糖反応とGIはアミロース含量および食物繊維含量に依存していることが分かった。
注1:グリセミック・インデックス(GI)
食品の血糖上昇能を示唆する指標である。日本では基準食をご飯とし、検査をしたい食品の血糖上昇とごはんのそれとを比較し、数値化したものである。ご飯のGIは100であり、数値が大きい食品ほど食後の血糖値が高くなることをいう。
訳/小田宗宏(炊飯HACCP審査委員)
出典:
雑誌名 :Int J of Food Sci and Nutr、2013; 64(1): 89–93
著者・所属:T. P. Trinidad, et al, University of the Philippines
タイトル :The effect of apparent amylose content and dietary fibre on the glycemic response of different varieties of cooked milled and brown rice