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関連図書・参考資料

=地域住人を対象としたコホート(注1)研究における摂食速度と代謝異常症候群との関連性=

ごはんソムリエ講師 小田宗宏

2025/12/24

文献番号B-06

訳者よりひとこと

朝食を欠食すると肥満になり易いとの論文をすでに紹介していることから、次に、食事を摂る速さ(摂食速度)とメタボリックシンドローム発症との関連性について述べる。本ヒト試験は日本人を対象としたコホート研究の成果であることから、食生活においても大変参考になる情報と考えられる。

文献要旨(訳)

代謝異常症候群(以下、メタボと略す)は世界的に関心を集めている。摂食行動、特に、摂食速度は肥満や糖尿病を発症させる要因として認識されている。この研究の目的は、日本人の摂食速度とメタボの発症率との関連性を評価することにある。

埼玉県草加市の地域住人で、研究開始段階ではメタボではない対象者、8,941名(40~75歳)を抽出し、3年間にわたる追跡調査がなされた。研究機関中、人体測定やライフスタイルの要素などが調べられた。

研究期間(3年間)中に647名がメタボを発症した(年間、1,000名当たり25名相当)。摂食速度が速くないグループと速いグループのメタボ発症率はそれぞれ2.3%と3.1%で、摂食速度の速いグループで発症率が高く、また、ハザード比(注2)をみても1.3であった。摂食速度はメタボのリスクファクターであるウエスト周囲長やHDL-コレステロールと有意に相関すると考えられた。ハザード比をみると摂食速度の速いグループでは,ウエスト周囲長では1.35、HDL-コレステロールでは1.37であった。

摂食速度はメタボの発症率にも関係しており、ゆっくり食べることが日本人のメタボを予防するためにも重要なライフスタイルと考えられる。

註1:コホート

    疫学におけるコホート研究において、ある期間にわたって観察あるいは追跡される特定の集団をいう。

註2:ハザード比

    イベント(死亡)の起こりやすさを意味するものであり、試験期間全体の平均的な群間差として推定したもの。例えば、ハザード比が1であれば群間に差がないということである。

 

訳/小田宗宏(炊飯HACCP審査委員)

出典:

雑誌名  :J Epidemiol 2015;25(4):332-336

著者・所属:Bing Zhu, et al., Dept. of Health Education, China

タイトル :Association Between Eating Speed and Metabolic Syndrome in a Three-Year Population-Based Cohort Study