Japan Cooked-rice Association
ごはんソムリエ講師 小田宗宏
2025/12/24
文献番号B-03
訳者よりひとこと
食事をすると身体が温まる。それは、食事から摂った栄養素の一部が体熱となって消費されるためであり、食事誘発性熱産生といわれる。食事誘発性熱産生は1日のエネルギー消費の5~15%に相当する。しかし、食事として摂る栄養素の種類によっては熱産生量が異なることから、体重増を少しでも抑えるための食事の内容について関心をお持ちでしたら参考にして頂きたい。
文献要旨(訳)
日々のエネルギー消費は、基礎代謝、食事誘発性熱産生および身体活動の三つの要因による。ここでは、食事誘発性熱産生に関するデータについて、測定条件と食事の特徴との関連性から総括する。
測定条件として、対象者の栄養状態、身体活動、調査期間を含めた。食事の特徴として、エネルギー含量と三大栄養素(タンパク質、炭水化物、脂質)が含まれる割合を取り上げた。
多くの研究では、食事誘発性熱産生(DIT)は、基礎代謝に上乗せされたエネルギー消費量として測定されている。一般的には、三大栄養素の食後における酸化反応には階層性があるように、DITにおいてもアルコール、タンパク質、炭水化物、脂質の順に階層性がある。様々な成分を含む食事を摂るとき、エネルギー収支の点で、食事により誘発されたエネルギーは1日のエネルギー消費の5~15%に相当する。その数値は、アルコールやタンパク質の摂取が多い場合には相対的に高く、高脂肪食では低い。タンパク質が誘導する熱産生は満腹感をもたらす重要な要素でもある。
DITの主たる要因は、食事の持つエネルギー含量とタンパク質やアルコールの割合である。タンパク質はDITに関係した満腹感を通して体重の制御にも重要な役割を果たす。
訳/小田宗宏(炊飯HACCP審査委員)
出典:
雑誌名 :Nutrition & Metabolism, 2004, 1:5
著者・所属:Klaas R Westerterp, Maastricht University (Netherlands)
タイトル :Diet induced thermogenesis