Japan Cooked-rice Association
ごはんソムリエ講師 小田宗宏
2025/12/24
文献番号B-01
訳者よりひとこと
食事のとり方には個人差がある。また、体に良いといわれている食べ方についても、古くからの言い伝えがある。ここでは、しっかり噛んで、ゆっくり食べることが糖尿病の抑制にもつながるという観察研究の結果を紹介するが、必要であれば、自身の食事のとり方について振り返るための参考資料にして頂きたい。
文献要旨(訳)
本研究は、一般集団を対象として、咀嚼能力(低いから高いまでの4段階に分けて)や食事の速さ(速いから遅いまでの3段階に分けて)と糖尿病との関連性について調べる観察研究である。
本研究には、滋賀県長浜市の市民であって、年齢が40歳~74歳の男性2,283名と女性4,544名が登録されている。咀嚼能力は、咀嚼すると色が変化するガム類を使用し、それを咀嚼した後の色の変化の程度を測定することにより評価した。
男性177名(7.7%)と女性112名(2.4%)が糖尿病と診断された。本研究では、登録者の咀嚼能力をQ1(低い)、Q2、Q3、Q4(高い)の四分位に群分けした。糖尿病のオッズ比(註1参照)を最も咀嚼能力の低い群と比較すると、男性では、Q2群は0.91、Q3群では0.77、Q4群は0.53であった。同様に女性では、それぞれ1.2、0.95、0.56であった。次に、糖尿病と食事スピードとの関連性についても評価したところ、食事スピードの速い群と比較すると、男性では、中間の群では0.87、遅い群では0.38であり、同様に女性では、0.92、1.5であった。
これらの結果をみると、しっかり噛み(咀嚼能力が高い)、ゆっくり食べることが糖尿病を予防するという仮説を支持している。
註1:オッズ比
ある病気などへの罹りやすさを2つの群で比較して示す数値であって、例として、1より大きい数値では、病気に罹りやすいことを意味する。
訳/小田宗宏(炊飯HACCP審査委員)
出典:
雑誌名 :PLoS ONE 8(6): e64113(2013)
著者・所属:Toru Yamazaki, et al., Graduate School of Medicine, Kyoto University
タイトル :Mastication and Risk for Diabetes in a Japanese Population:
A Cross-Sectional Study