Japan Cooked-rice Association
ごはんソムリエ講師 小田宗宏
2026/03/16
文献番号B-15
訳者よりひとこと
ご飯を食べると血糖値は上昇するが、ご飯ばかりでなく小麦やトウモロコシなど炭水化物を主たる成分とする食品を摂取すれば血糖値は上昇する。この血糖値が上昇することは、炭水化物を摂る以上避けられないことであり、血糖値が高い状態で、それが長く続くと肥満や2型糖尿病の原因にもなる。したがって、ご飯を食べることを健康とのかかわりの中で考えると、血糖値の上昇を抑制できる食事の摂り方が望ましいことになる。
今回取り上げた論文では、米の品質は血糖やインスリン応答に対しても異なった影響をおよぼすこと、また、収穫後の加工や、消費者側の料理法や保存の仕方、更には再加熱などによっても血糖応答への影響が異なることが示されている。ご飯と血糖応答との関係をみると、一つの視点からのみでは議論できないことが分かる。重要な要因として3点ほど示されており、それらについて紹介したい。
文献要旨(訳)
米は世界人口の半数以上の人にとって大切な食べ物である。特に、アジアでは、米がグリセミック負荷(GL)(注1参照)の主たる役割を果たしている。高GL食を継続的に摂取することは2型糖尿病のような慢性疾患に関わってくる。食後の血糖やインスリン応答が抑えられるとするとそれは有益な食生活への変化であることから、米による食後の血糖(PPG)やインスリン(PPI)応答への影響の違いや、それらに関与する重要な内性因子と加工因子について検討しておくことは有益である。そこで、米の血糖応答に関係し、相互に関係する論文について、各種データベースから体系的に抽出しレビューした。
ぶどう糖のグリセミック・インデックス(GI)(注2参照)を100とすると、米の品種の違いによりGIは48~93の範囲で違いがあり、また、インスリン応答は39~95の範囲で違っていた。このような血糖やインスリン応答の違いを説明する重要な要因として3点挙げられている。
(1)固有であるでんぷん特性(アミロース/アミロペクチン比と品種)
(2)収穫後の加工(特に、パーボイルド)
(3)消費者側の加工(料理法、保存法、再加熱)
精米加工は明らかに異なった影響を示し、同じ調理時間を設定しても、精白米より玄米の方がPPG、PPI共に常に低値である。しかしながら、玄米を料理する場合のように長めの調理時間を設定すると玄米と精白米との間での違いは小さくなり、また、一貫性のない違いであった。
注1:グリセミック負荷(GL)
食事の中で摂取される炭水化物の質と量とを同時に示す指標であって、グリセミック・インデックス(GI)の値に炭水化物の量を掛けた値で産出される。
注2:グリセミック・インデックス(GI)
食品の血糖上昇能を示唆する指標である。日本では基準食をご飯とし、検査をしたい食品の血糖上昇とごはんのそれとを比較し、数値化したものである。ご飯のGIは100であり、数値が大きい食品ほど食後の血糖値が高くなることをいう。
出典:
雑誌名 :British J of Nutrition 2015, 114, 1035-1045(文献6/炊飯6/分類B-5
タイトル :Systematic Review of the influence of rice characteristics and processing methods on postprandial glycaemic and
insulinaemic responses
訳/小田宗宏(炊飯HACCP審査委員)