Japan Cooked-rice Association
ごはんソムリエ講師 小田宗宏
2025/12/24
文献番号B-08
訳者よりひとこと
和食の健康効果が注目されているが、そこには食材、調理法など様々な要因が寄与していると考えられる。本論文は、食事ばかりでなく、お茶を飲むことや入浴などなど日常生活の習慣も含めて健康(ここでは炎症に関する)への影響を調べたものである。食事ばかりでなく、日常的な習慣や風習なども炎症を抑制する傾向があることが分かった。
文献要旨(訳)
東アジアの国々において、日本は例外的に長寿で健康的な国である。さらに、炎症マーカー(註1)であるCRPとIL-6の血中濃度が欧米の国々と比較しても低いことが報告されている。本論文では、東京に住む382名の成人について、血中のCRPとIL-6濃度が日本人の行動や習慣を反映する4つの文化的側面(お茶を飲む、海産物を摂る、野菜を摂る、規則正しく入浴する)と関係しているかどうかを調べた結果が示されている。
日本食を摂取することと、CRPとIL-6の濃度が低いということとは有意に関連していた。また、入浴の頻度が高いほど、IL-6は低下していたが、しかし、CRPには変動はみられなかった。この研究では、日本人成人が炎症を抑えられていることと、いくつかの普段の行動様式と関係している、という重要な事実を検証することができた。
註1:炎症マーカー(CRP、IL-6)
体内で炎症反応などが起きているときに血中に現れる生理活性物質であり、CRPやIL-6など多くの種類がある。高齢者ではCRPやIL-6の濃度が高い(老化には慢性的な軽度の炎症が伴っている)。
訳/小田宗宏(炊飯HACCP審査委員)
出典:
雑誌名 :Brain Behav Immun. 2020; 90: 385–392
著者・所属:Christopher L. Coea, et al., University of Wisconsin, United States
タイトル :Cultural and life style practices associated with low inflammatory physiology in Japanese adults