Japan Cooked-rice Association
ごはんソムリエ講師 小田宗宏
2025/12/24
文献番号B-02
訳者よりひとこと
食後の高血糖の予防は、糖尿病の発症予防にもつながる。日常的な食事の際に、料理の食べる順序を変えるだけでも食後血糖値をコントロールすることができるとの報告がある。今回は、炭水化物を摂る前に野菜を先に摂ることによって、食後血糖値がいかに変動するかという研究成果を紹介したい。特別なことをする必要はなく、ちょっとした工夫で容易に実践できる食事の摂り方であると思われることから、ここで取り上げた。
文献要旨(訳)
血糖値の大きな変動は2型糖尿病に関連した微小血管や大血管の合併症を促進することが報告されている。食後血糖と血糖値スパイクは空腹時血糖値やHbA1C濃度よりもアテローム性動脈硬化症により強く相関している。そのため、血糖の変動を抑えることと低血糖を最小限抑えるための、食事を含めて、安全で効果的な介入が求められている。
血糖変動の平均的な変動幅は、糖尿病合併症への危険性の増大と、同様に、代謝調節全般に関する重要な判断材料になっている。本報告では、2型糖尿病患者を対象として、炭水化物より先に野菜を摂取することが、短期的には食後血糖とインスリン濃度に対する効果と長期的な血糖改善効果についても触れる。
結果のまとめであるが、炭水化物を摂る前に野菜を先に摂取することで、2型糖尿病患者や健常者いずれにおいても、食後血糖の変動幅を減少させることができた。本研究で示した炭水化物より先に野菜を摂取するという方法は、心血管疾患の発症を予防する新たな方法にも結び付くということでも重要である。栄養指導の点からは、2型糖尿病患者へのアドバイスとなり、また、健常者が将来的にも心血管疾患に罹患しないためのアドバイスにもなる。
訳/小田宗宏(炊飯HACCP審査委員)
出典:
雑誌名 :Diabet. Med. 30, 370–372 (2013)
著者・所属:S. Imai, et al., Osaka Prefecture University
タイトル :Eating vegetables before carbohydrates improves postprandial
glucose excursions