Japan Cooked-rice Association
ごはんソムリエ講師 新井映子
2026/08/17
皆様の中にも、「米を水に浸す際に氷を入れるとおいしいごはんが炊ける」という内容のテレビ番組を見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。前回のコラムでは、米の浸漬温度がごはんの甘味に与える影響についてお話しました。そこで今回は、米の浸漬温度がごはんのテクスチャーに与える影響について解説したいと思います。 以下の図をご覧ください。このデータは、前回の実験と同様に収穫後1年近く経過したコシヒカリを1~60℃の水に1時間浸漬し、そのまま炊飯したごはんを常温で1時間放冷後、硬さと粘りを測定した結果です。ごはんの硬さは、黒で示した常温(20℃)よりも低温(1または10℃)浸漬で値が低く、やわらかいことが分かりました。粘りは、低温(1または10℃)や高温(40~60℃)で常温浸漬よりも値が高く、粘りが増加することが分かりました。 また、ごはんのテクスチャーの指標として、粘りを硬さで除した「粘り/硬さ」の値が用いられます。この数値は別名「バランス度」とも呼ばれ、新米のごはんでは0.2を超えることが知られています。本実験は古米を試料としたため、常温浸漬ごはんのバランス度は0.13程度でした。しかし、1℃浸漬のごはんでは数値が0.18まで上昇し、テクスチャーの向上が認められました。これに対して、高温浸漬では粘りの値は増加しましたが硬さの値が高いため、バランス度は0.15程度に止まりました。すなわち、ごはんのテクスチャー向上には、低温浸漬の方が有効であると思われます。 以上のことから、浸漬水の一部を氷として加える、水に浸けた米を冷蔵庫内に置くなどして米を低温で吸水させることは、おいしいごはんを炊くためのひとつの方法になり得ると考えます。なお、この要因については、次回のコラムで改めて考察したいと思います。加えて、低温浸漬は高温浸漬よりも沸点到達までの温度上昇速度が緩やかなため、これもごはんのおいしさに一役買っていると思います。誰にでもできる簡単な方法ですので、浸漬時間に留意してぜひ一度お試しください。
(次回は浸漬の温度・時間と吸水率の関係について)